良くも悪くも

良くも悪くも、今も昔もあまり成長していないエッセイ。

アレ取ってーのこと

「いやーん、取れない!上のアレ取ってー!」

を、1度でいいから言わせて欲しい。

そして、笑顔で「任せろ」とヒョイと取ってくれるシチュエーション体験が出来る、そんなコンセプトカフェはありませんか。


私が届かない場合、それはもう自力では無理な高さなわけで、そっと脚立を渡されることはあっても、「任せろ」男子は現れない。


「背が高くて羨ましい」

父親が長身だったのを見事に受け継いだ結果、そんなに牛乳は好物ではないのにでかくなった私が初対面の方に100%言われる言葉。


嫌味でも謙遜でもなく、素直に、私は小さな守ってあげたくなるような子になりたかった。

頭を撫でられる事もないし、ましてや壁ドンされても目線が合わないからときめけない。

壁ドン経験なんてないけど。


接客ひとつ取っても、私が寄って行って「何かお探しですか?」と聞くとなかなかの確率でビクッとされた。

ただこの場合は身長ゆえの威圧感かと思っていたが、私がステルスすぎた可能性も否めない。


今ふと、

「背が高くて羨ましいよ」

「いや、守られたいんです。小さい子守りたくなるでしょ」

「分かるけど。そんなの言ったら俺木村拓哉になりたかったもん」

「それ背だけの問題じゃなくなるんですけど」

「そういうそっちは理想像ないの」

「ガッキーです」

「ガッキー背高いだろ」

「顔です」

「身長の話をしろ」

という職場での物凄く不毛な会話を思い出したが、とにかく憧れが強い。


「アレ取ってー」とお願いした時に、静かに脚立を差し出さず、なおかつ笑顔で対応してくれる日はいつですかね。